コミュニケーション障害を乗り越える方法

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コミュニケーションの構造を知ると、コミュニケーション障害になりうるものが分かってきます。
何が障害になっているのかが分かれば、乗り越える方法も分かってきます。

下図に、コミュニケーションの構造を示します。

コミュニケーションの構造

図中の「心理的フィルタ」は、我々が思考をするのに必要な情報を、出し入れするときに、必ず情報が通る部分です。

空気清浄機のフィルタや、カメラのレンズに付けるフィルタのように、そこを通すもの/通さないものを選別したり、通すものに影響を与えて変化させたりするものです。

もちろん、「心理的フィルタ」は、目に見える、物理的な物体ではありませんが。

そして、「心理的フィルタ」は、開いていなければ何も通しません。
カメラのレンズにキャップをしているようなことです。

カメラのレンズに蓋この、「心理的フィルタ」が開いていないことが、コミュニケーション障害の最大要因の1つと言えます。

このことについては、

関連記事コミュニケーション障害の最大要因とは

で解説しています。

そして、「心理的フィルタ」が開いていたとしても、その性質を知らないと、コミュニケーション障害の要因となってしまい、伝えたい情報を上手に通すことができません。
伝えたいことが、上手に相手に伝わらないということです。

このページでは、相手の「心理的フィルタ」という障害を乗り越えて、伝えたい情報を上手に、相手に届ける方法について解説します。

「心理的フィルタ」の種類

ここでは、主要な「心理的フィルタ」について解説します。
すなわち、
  1. ボキャブラリーと連想
  2. 経験
  3. 機嫌・体調
  4. 思考の癖
  5. 五感の優位順
  6. 確定/柔軟タイプ
  7. 心配/期待タイプ
です。

ボキャブラリーと連想

同じ単語を使っていても、その意味するところ、イメージすることは人によって異なります。想像

妻と私とで、「雨」という言葉から連想する言葉を、それぞれ10個書き出してみました。

私の10個と妻の10個で共通するものは、3つしかありませんでした。

これほどまでに、同じ言葉を使っていても、違うイメージを持っているのです。

「雨」という言葉ならば、生活上、それほど大きな問題になることはないでしょう。

しかし、仕事上で使われる言葉、例えば、「目標」「売上」「コスト」「リスク」などについて、ポジティブな連想をするか、ネガティブな連想をするか、だけをとっても、コミュニケーション障害が発生しそうであることが容易に想像できます。

仮に、そもそもの意味を取り違えていたら、コミュニケーションが成立することは困難です。

「その言葉は、どんな意味で使ってる?」
と確認することも重要なステップです。

経験

経験によるフィルタよって、伝わり方が違ってきます。
例えば、友人をスノボに誘う場合

  • 今までに、何度がスノボに行ったことがあって、そのどれもが楽しかった思い出ばかりの人
  • 過去にスノボに行って、天候に恵まれなくて、大変な目にあったことがある。転んだり、ぶつかったりして、大けがをしたことがあるという人
  • スノボの経験が全くない人

それぞれ、誘いに対する反応は違ったものになるでしょう。

その反応を観察して、誘い文句を工夫する必要があるでしょう。

機嫌・体調

機嫌や体調によっても、「心理的フィルタ」は変化します。
  • 機嫌や体調が良いときは、普段より受け入れの許容範囲が広がり、
  • 機嫌や体調が悪いときは、許容範囲が狭まる。
というのは、経験的にお分かりだと思います。
機嫌

人にお願いごとをするときに、ご機嫌を伺って、タイミングを見計らうことをしたことがあると思います。

同じ頼まれごとでも、機嫌が良いときには引き受けて、機嫌が悪いときには断わってしまった、ということがあると思います。

思考の癖

思考の癖が、「心理的フィルタ」に影響することがあります。
私の妻の例です。

私たち夫婦の場合、妻は外で、私は自宅で仕事をしています。

毎朝、妻が出かける前に、夕飯の予定を確認します。

残業やアポがなければ、妻が夕飯の買い物をしてきてくれて、一緒に食べます。

帰りが遅くなるときは、妻は外で夕飯を済ませ、私は自分で何かを用意するなり、外食するなりしています。

ある日、妻は、その夜に食事会があるとのことでした。

彼女はお酒好きで、時々飲み過ぎて帰ってきます。
そのことに、少々罪悪感を持っているのでしょう。

私が、確認の意味だけのつもりで

「じゃ、お酒飲んでくるんだね」

と聞きました。

食事だけの場合とお酒を飲んでくる場合とでは、帰宅時間が違いますから。

その質問をされた妻は、責められたと感じたみたいで、自己正当化する言葉を返してきました。

罪悪感も、思考の癖の一種なんですね。

一方私は、少々高価なものを買い物したとき、そのことを妻に話したら、

「ぜいたくだね」

と言われました。
恥ずかしい話、私の方が妻より稼ぎが少ないので、

「よくそんなお金があるね」
「無駄使いしやがって」

と解釈してしまいました。

稼ぎが少ない私の被害妄想であり、思考の癖なんですね。

妻は単に、

「そんな買い物ができて豊かだね。」
「幸せだね」

と言う良い意味で

「ぜいたく」

という言葉を使っていたのです。

五感の優位順

五感の情報処理の優位順によっても、フィルタの状態が変わります。

五感とは、

  • 視覚
  • 聴覚
  • 触覚
  • 味覚
  • 嗅覚
です。

ここでは、便宜的に、
「触覚」「味覚」「嗅覚」の3つを1つにまとめて「体感覚」と言うことにします。

つまり、五感の優位順とは、

  • 視覚:目に見える情報
  • 聴覚:耳に聞こえる情報
  • 体感覚:その他の体で感じる情報
の3種類の情報処理の優位順のことを言います。

人にはそれぞれ、得意な感覚と苦手な感覚があります。

視覚、聴覚、体感覚の3つうち、2つが得意で、1つが苦手ということが多いようです。

2つの得意な感覚は場面によって、どちらが優位かが入れ替わることがあります。

場面とは、

  • 仕事中かプライベートか
  • 洋服と選ぶとき
  • 食事メニューを選ぶとき
などです。

1つの苦手な感覚は、どの場面でもあまり優位になることはありません。

とは言え、どの感覚も使えない、使わないわけではありません。

例えば、

  • Aさんの仕事中:
    第1位:視覚、第2位:体感覚、第3位:聴覚
  • Aさんのプライベート:
    第1位:体感覚、第2位:視覚、第3位:聴覚
  • Bさんの仕事中:
    第1位:視覚、第2位:聴覚、第3位:体感覚
  • Bさんのプライベート:
    第1位:聴覚、第2位:視覚、第3位:体感覚

といった具合です。

もちろん場面によらず、優位順が変わらないこともあります。

それでは、3つの感覚の優位順の違いによって、どんな特徴があり、どう対応したら良いかを解説していきます。

視覚優位

視覚優位の人、場面では、視覚情報を表わす言葉を使いがちです。
大きさ、色、形、明るさなどの情報です。

視覚

「お前の話は良く見えない。」
「未来は明るい。」
などの表現をしがちです。

話すときには、頭の中に思い描いた映像を見ながら、話します。

映像は情報量が多いです。
その映像(情報)が消えて、見えなくなってしまう前に、言葉にしようとします。
なので、話すペースが速くなりがちです。

手で、物の位置や大きさを示しながら話す人がいますが、あれは実際に目の前にあるかのように、脳内で見ながら話しているのです。

話を聞くときは、聞いている情報を元に、映像を作りながら、その作った映像を見ながら理解します。

だから、

「話が見えない」
と言っているとき、その人は聞いている情報だけでは映像を作り出せていないのです。
映像が見えていないのです。
そういう時には、映像が作れるよう、見えるような情報を補いながら、話をしたら良いのです。

可能ならば、写真や動画、実物を見せてしまえば良いのです。

映像を見ながら、話をしたり、聞いたりするので、目が正面か上に動きがちです。

聴覚優位

聴覚優位の人、場面では、聴覚情報を表わす言葉を使いがちです。
聴覚

文字や言葉自体に意識が向かうとも多いようです。

音色、音質、リズム、テンポ、語感、などの情報です。

「色がうるさいデザインだ」
「テンポ良く進めよう」
などの表現をしがちです。

話すときには、頭の中に流れ聞こえてくる声・言葉を聞きながら、話します。

話すペースは視覚優位と体感覚優位の中間くらいです。

文字や言葉自体に意識が向かいがちなので、他人の言い間違いや言葉の使い方の間違い、誤植に気付きやすかったり、細かく指摘したりします。

美術館で絵を観賞していても、絵より説明のキャプションをじっくり読んでいる、ということも多々あります。

話を聞くときは、頭の中で言葉をリピートしながら聞いたり、実際に口ずさんだりしながら理解します。

だから、お客様の生の声を実際に音声として聞かせたり、文字起こししたものを読ませたりすると良いです。

スペックを細かく聞かせたり、読ませたり、というのも効果があります。

脳内で聞きながら話したり、耳からの情報に重きを置くので、耳のある方向、つまり横に目が動きがちです。

体感覚優位

体感覚優位の人、場面では、体感情報を表わす言葉を使いがちです。
体感覚

触感、質感、温度、湿度などの情報です。

「話がつかめない」
「温もりを感じる」
などの表現をしがちです。

話すときは、体感覚にアクセスして、感じながら、話します。

じっくり感じながら話すので、話すペースはゆっくりになりがちです。

話を聞くときは、一度、体で感じ、味わって理解します。

だから、可能ならば、実物を持たせたり、触らせるのが効果的です。

重さを感じたり、手触り・肌触りを味わってもらうと理解が進みます。

体で感じながら、話したり、聞いたりするので、体のある方向、つまり下に目が動きがちです。

とはいえ、特にどの感覚にも属さない言葉や表現も多いので、必ずしも、優位な感覚の言葉や表現だけを使うわけではない、ということは抑えておいてください。

確定/柔軟タイプ

確定タイプか柔軟タイプか、という違いによる、フィルタの違いがあります。
  • 情報を確定・固定したいタイプ
  • 情報に柔軟性を持たせたいタイプ
です。

このタイプは、人によってどちらかに固定されているようです。

例えば、友人と遊びに行くとき:

前もって、いつ、どこに、どうやって行くのかを教えておいて欲しいという人がいます。
当日や前日に誘われても心の準備もできないし、対応できない、と。
この人は、確定タイプの人です。

一方、遊びの誘いは、当日や前日の方が良いという人がいます。
前もって予定を入れられても、そのときにその遊びをする気分じゃなくなってしまっているかもしれないし、もっと楽しい誘いが入るかもしれない、と。
この人は、柔軟タイプの人です。

心配/期待タイプ

心配タイプか期待タイプか、という違いによる、フィルタの違いがあります。
  • 心配をベースにした情報に影響を受け易いタイプ
  • 期待をベースにした情報に影響を受け易いタイプ
です。

このタイプも人によって固定されているようです。

心配タイプ:

「○○しないと、こんな大変なことになっちゃうので、○○しといた方が良いよ」
というような情報の方が行動に移しやすい。

期待タイプ:

「○○すると、こんな良いことが起こる可能性があるから、○○したら良いよ」
というような情報の方が行動に移しやすい。

行動を起こすきっかけとして、どちらの情報に影響されるやすいか、という違いがあります。
しかし最終的には、両方の情報があった方が、納得しやすい、ということがあります。
両方の情報をしっかり提供できるように、練習することが大事です。

「観察力」と「柔軟性」を駆使して、工夫をしていれば、相手のタイプが分かってきます。
そして、会話やプレゼンの成果を上げる効率や成功率も高まることでしょう。

まとめ

コミュニケーション障害となりうる「心理的フィルタ」の主要なもの、すなわち、
  1. ボキャブラリーと連想
  2. 経験
  3. 機嫌・体調
  4. 思考の癖
  5. 五感の優位順
  6. 確定/柔軟タイプ
  7. 心配/期待タイプ
について、解説しました。

これらの「心理的フィルタ」の特徴を理解し、対応できるようになると、コミュニケーション障害を乗り越え、コミュニケーションがスムーズになるでしょう。

下記の関連記事を順にお読みいただくと、コミュニケーション能力の磨き方が分かります。

あなたの理解を深めるために、ぜひお読みください。

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