コミュニケーションの目的に合わせた情報提供法

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コミュニケーションをキャッチボールに喩えることがあります。キャッチボールの肝は、相手に取りやすいボールを投げること。

コミュニケーションでも同じです。

相手が受け取りやすい表現をすること。
これが、コミュニケーションの肝になります。
大切に渡すこのページでは、相手が受け取りやすい表現とは、どんなものかを解説します。すなわち、

  • 相手の「心理的フィルタ」の状態に合わせた表現
  • フレーミング
  • 原因分析型/問題解決型コミュニケーション
について、解説します。

コミュニケーションの目的に合わせた表現

コミュニケーションの目的を達成する、すなわち、

自分が伝えたいことを伝え、
「自分が望む、相手の反応」を得ること

のために、
  1. 自分の伝えたいことを、相手が受け取りやすいように、表現すること
  2. 自分が望む、相手の反応を引き出しやすいように、表現すること
が大事になってきます。以下に、その方法、注意点を解説します。

相手の「心理的フィルタ」の状態に合わせた表現

自分が伝えたいことを、相手が受け取りやすいように、表現する1つの方法は、
相手の「心理的フィルタ」の状態に合わせた表現をしたり、情報提供したりすることです。下図にコミュニケーションの構造を示します。

コミュニケーションの構造

自分や相手が「思考」するために、必要な情報は必ず「心理的フィルタ」を通して、取り入れます。

「心理的フィルタ」については、

関連記事
コミュニケーション障害の最大要因とは
コミュニケーション障害を乗り越える方法

で、詳しく解説しています。

「心理的フィルタ」の主要なものには、
  • 「経験」によるフィルタ
  • 「五感の情報処理の優位順」によるフィルタ
  • 「確定タイプ/柔軟タイプ」によるフィルタ
  • 「心配タイプ/期待タイプ」によるフィルタ
などがあります。

「経験」によるフィルタ

相手が、
  • 野球をしてきた経験があるならば、野球に喩えた話をする。
  • 釣りが趣味ならば、釣りの喩え話をする。
  • 将棋が得意ならば、将棋の喩えをする。
など、相手がよく馴染んでいる事柄になぞらえて話をすれば、相手に理解されやすくなります。

「五感の情報処理の優位順」によるフィルタ

相手の優位な感覚に合わせて、
  • 視覚優位なら、視覚情報(写真や映像)を多めにする。
  • 聴覚優位なら、聴覚情報(音や声など)を多めにする。
  • 体感覚優位なら、体感覚情報(温度や手触りなど)を多めにする。
といった工夫ができます。優位な感覚によって、話すペースが変わるので、相手のペースに合わせて話をすると、相手は理解しやすいです。

「確定タイプ/柔軟タイプ」によるフィルタ

確定タイプか柔軟タイプかによっても、表現を変えた方が良いでしょう。相手がどちらのタイプか分からない場合は、確定タイプに合わせた情報提供の仕方が良いでしょう。

確定タイプの方が、必要な情報が多くなりがちだからです。
その分、情報不足にならないよう注意が必要です。

柔軟タイプの人は、自分が必要な情報だけ、本人の都合の良いように取捨選択するので、情報過多になっても、問題になることはあまりありません。

「心配タイプ/期待タイプ」によるフィルタ

心配タイプか期待タイプかによっても、表現を変えることが大事です。心配タイプの人に、期待タイプの情報提供ばかりすると、

「良いことばかり言って、信用できない。」

という反応になってしまいがちです。期待タイプの人に、心配タイプの情報提供ばかりすると、行動を起こすテンションを削いでしまいがちです。

フレーミング

フレーミング(framing)とは、話にフレーム(frame)、すなわち、枠組みを設ける、ということです。絵画や写真は、額縁(frame)によって、そこから受ける印象が大きく変わります。
同じように、伝える言葉やそれが表す内容は、そこに付けられる枠によって、そこから受ける印象が大きく変わります。

例えば、下図をご覧ください。
「デルブーフ錯視」と言われる図です。

デルブーフ錯視

図中にある、2つの黒い円は、左右どちらも同じ大きさです。
しかし、その外側にある白い円の大きさ(枠組み)があることによって、大きさが違って見えます。
言葉の例を挙げてみましょう。

今から、あなたが受けようとしている手術の説明です。

「90%の確率で成功します。」
「10%の確率で失敗します。」

さて、あなたは、どちらの説明を受けた方が、安心できるでしょうか?

同じことを表現していますが、成功の枠を付けて表現するか、失敗の枠を付けて表現するかで、印象が変わるのを感じられるのではないでしょうか?

プレフレーミング

プレフレーミング(pre-farming)という表現方法があります。
予め(pre-)、枠組み(frame)を設けるということです。話の冒頭部分で、これからどんな話を、どんな目的で話すのか、を説明してから、本題に入るのです。

冒頭部分の話によって、その後の話が全く同じでも、違ったことが伝わってしまいます。

例えば、社長の訓話として、

「今期前半は、予算を達成できていません。
社員全員が知恵を出し合って、後半は予算達成に向けてがんばりましょう。」

というのがあったとします。
(とっても、ざっくりした例で申し訳ないですが)

この訓話の前に、司会者が、

「社長から、今期の厳しい状況についてお話いただきます。
社長、お願いします。」

という紹介があったあとに、上記の社長訓話を聞く場合と

「社長から、みなさんへの応援メッセージをいただきます。
社長、お願いします。」

という紹介があった場合とでは、社長の話の聞こえ方、意味合いが違って感じられるのではないでしょうか?

リフレーミング

リフレーミング(re-framing)という表現方法があります。改めて(re-)、枠組みを設け(farming)直すということです。

情報や出来事に対して、すでに枠組みを設けて、解釈していることに、違う枠組みを設け直すことで、新たな解釈をさせるということです。

例えば、

「私は融通が利かない、頑固者なんです。
社会に出てやっていけるでしょうか?」

と悩んでいる人に対して、

「伝統を守るようなお仕事には、向いているかもしれませんね?」

と言ってあげる。

それで相手の心が軽くなれば、リフレーミング成功です。

まだすっきりしないようならば、

「あなたは、融通が利かないのではなく、意志が強いだけなのではないですか?」

など、他のフレームを試してみたら良いのです。

リフレーミングの成果が上がっているかどうかは、「観察力」を駆使して確認することが必要です。
自分のリフレーミングに対して、相手がすでに設けている枠組や解釈に変化がなければ、違う表現でリフレーミングをやり直すことです。
ここでもやはり、「観察力」と「柔軟性」が大事でのです。

「観察力」と「柔軟性」については、

関連記事コミュニケーション能力向上に必要なものとは

で、詳しく解説しています。

リフレーミングを相手や自分の行動を促したり、抑制することに利用することもできます。
  • 目先の「不快」を「快」に
  • 結果の「不快」を「快」に
リフレーミングすることで、行動を促すことができます。
  • 目先の「快」を「不快」に
  • 結果の「快」を「不快」に
リフレーミングすることで、行動を抑制することができます。

目先の「快」「不快」、結果の「快」「不快」については、

関連記事人の行動心理

で、詳しく解説しています。

原因分析型/問題解決型コミュニケーション

何か問題や不手際が発生したとき、失敗を犯してしまったときに、原因究明や再発防止をしなければならないことがあります。そんなときに知っておくと便利な2つのコミュニケーションスタイルを紹介します。

  1. 原因分析型コミュニケーション
  2. 問題解決型コミュニケーション
の2つです。2つのコミュニケーションスタイルは、目的によって使い分けることができます。
原因究明や再発防止をするのに必要な情報を、効率的に集めることができたり、無駄に他者を責めてプレッシャーを与えなくて済んだりします。

原因分析型コミュニケーション

重大な問題が起きたときや顧客・取引先などに報告しなければならないときなど、原因究明が必要なときに使うコミュニケーションスタイルです。
原因究明に必要な情報を効率良く収集します。

問題解決型コミュニケーション

軽微な失敗をしたときなど、原因究明よりも再発防止を目指すことの方が、大事なときに使うコミュニケーションスタイル。
他者に無用なプレッシャーを与えずに、再発防止に必要な情報を効率良く収集します。

具体的に見ていきましょう。

原因分析型コミュニケーション

例えば、問題の原因になってしまった人に対して、その原因を探るためにする以下のような質問です。
  • 何が悪かったの? 問題は何なの?
  • なぜ、こんな問題が起きたの?
  • どのように失敗したの?
  • なぜ、そんなことをやったの?/やらなかったの?
  • 誰の責任(誰が悪いの)?
ここで一つ、大事なコツをお伝えします。原因を探るための質問なので、

「なぜ?」
「どうして?」

と聞いてしまいがちです。しかし、あなたがこのように聞かれたらどんな感じを受けますか?

おそらく、

「責められている」

と感じてしまいます。
そう感じてしまうと、どうしても

「言い訳」

をしてしまいがちです。答える側が「言い訳」をし始めてしまっては、質問する側は必要な情報を聞き出せなくなってしまいます。

そのためには、聞き出したいことがはっきりと伝わるような、質問にしてあげることが大切です。

「なぜ、こんな問題が起きたの?」

ならば、

「こんな問題が起きた原因は何なの?」
「なぜ、そんなことをやったの?」

ならば、

「そんなことをやった理由は何なの?」
「それをやったら、どうなることを期待してやったの?」

などのように。最後の、

「誰の責任ですか?」

については、最終的な責任は、責任者が負っているということをしっかりと伝えて上で、問題の原因になってしまった人を確認している、ということを伝えることが大事です。
顧客や取引先に個人名を報告するかどうかは別としてですけれど。

このコミュニケーションスタイルは、このように他者にプレッシャーを与え、言い訳を引き出してしまいかねないものなので、必要に迫られたときにだけ使うのが良いと思います。

軽微な問題には、多用しない方が良いでしょう。

問題解決型コミュニケーション

例えば、失敗した人に対して、

「次の機会にはどうするか?」

を問うための以下のような質問です。

前置き:「起きたことは、起きたこととして...」

  1. 今から(次回は)、具体的にどういう結果を目指しますか?
  2. その結果を得るためには、何をすれば良いでしょうか?
  3. それができているということが、どのようにして分かりますか?
  4. 今回のことで学んだことはなんですか?
  5. 次の機会に、その新しいやり方を試しているのを想像してみてください。
このコミュニケーションスタイルは、原因(過去)を振り返るより、より良い結果(未来)を考えるのに適した型です。
再発防止策を作るのに必要な情報を得るのにも有効です。
原因分析型コミュニケーションと問題解決型コミュニケーションを、使い分けるのも良いですが、原因分析型コミュニケーションと問題解決型コミュニケーションを繋げて使うのも効果的です。原因究明と再発防止を同時に実現することができます。

まとめ

コミュニケーションの目的に合わせた表現をすることが大事ということで、
  • 相手の「心理的フィルタ」の状態に合わせた表現
  • フレーミング
  • 原因分析型/問題解決型コミュニケーション
について、解説しました。
下記の関連記事を順にお読みいただくと、コミュニケーション能力の磨き方が分かります。

あなたの理解を深めるために、ぜひお読みください。

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